「物販の主流は女性」と言われて久しいものがあります。たしかに「物販の鍵は女性顧客~女心の理解がサイトの販売効率に影響する~」でもすでに分析した通り、近年、女性の購買力は大きく、男性をしのぐ勢いが見られます。だが男性とてものを買うのです。
たとえばネット通販で「3万円以上の商品」をもっとも多く購入する層は、40代の男性であることがわかっています。週に3回以上ネット通販を利用するヘビーユーザーは20代の女性に多いのですが、同時にこの層は1万円未満の買い物がもっとも多い層でもあります。あまり高価なものを買わない層なのです。このように、売りたい商品の特性によっては、男性が狙い目というケースが多々あります。男性に向けて情報発信し、顧客として取り込むことには、非常に大きな意義がある、と言えるでしょう。
ネット通販における男性顧客の特性を分析し、効果的な対応策を検証しましょう。
※購買特性データはいずれも「日本通販協会」調べによる。
ネット通販利用における男性の特性
男性の特性には、決断の早さ、論理性などがあげられます。これには主に男性ホルモン、テストステロンの影響が大きく、ロンドン金融街で働く証券ディーラーを調べたところ、男性的特徴の強い人ほど、好成績を収めていたそうです。決断の早さ、論理性が勝敗を決める職種だからでしょう。ネット通販の利用状況においても、男性のこの特性が、男性ならではの特徴をもたらしています。
①利用時間および状況
2010年にドコモ・ドットコムが行った調査結果をまとめたのが、下記のグラフです。ネット通販を携帯電話経由で利用している場合のみのデータですが、男女の違いは随所に見られます。「自宅でくつろいでいるとき」や「寝る前」など、比較的ゆっくり時間がとれる状況での利用は、女性が圧倒的に多いのに対し、男性では「電車などでの移動中」や「職場・学校などでの休憩時間」あるいは「待ち合わせ時など空き時間」や「仕事中・授業中」が多くなっています。
買い物すること自体を「目的」とし、ゆっくり楽しみたいのが女性。買い物はあくまで必要なものを手に入れる「手段」であり決断が早い男性は、「短い空き時間に買い物をする」傾向があるのです。仕事に追われている男性では、時間的なゆとりが少ないことも、こういった傾向を強めています。
ただし、当該データは携帯からのネット通販利用のみを分析したものです。「ネット通販において、男性は携帯よりパソコン利用が多い」というデータもあり、注意が必要です。モバイル広告を手がけるアップデイト内MMD研究所が発表したデータによると、実際の店舗以外で商品を買う場合にもっとも利用する手段として、女性は「携帯電話」を挙げたのに対し、男性は「パソコン」と答えているのです。
「実際の店舗以外で商品を買う時、一番利用する手段は何ですか?」という質問に対し、男性では39.7%が「パソコンによるネットショッピング」、ついで26.8%が「携帯電話によるネットショッピング」と答えています。一方女性では「携帯電話によるネットショッピング」がもっとも多く37.8%、「パソコンによるネットショッピング」が29.9%となり、男女でアクセス手段の逆転が見られます。携帯と比べ、パソコンには「ビジュアルやグラフ利用など、表現が多様」、「情報量が多い」、「検索しやすい」といった特性があります。論理性を好む男性は、買い物を楽しむというより、商品を詳細に検討するために、データが閲覧しやすいパソコンの利用を好むのです。「効率よく短時間で買い物したい」という嗜好と矛盾するデータではないことを理解する必要があります。
【対応策】
特に男性向けアイテムを携帯サイトで販売する場合、ダラダラと長い紹介を避けるのが賢明です。なるべく短いテキストで魅力を紹介しきれるよう、文面を練り上げる必要があります。どちらかといえば、過剰な煽りを入れるより、キャッチコピー、ショルダーコピー、短めのリードという構成を磨き上げることで、「説明しきる」ことに重点を置くべきでしょう。
また先にも書きましたが、女性が口コミなど利用者からの情報を重視するのに対し、男性では販売元や製造元が発信する「論理的な説明」を重視する傾向があります。グラフや表などを多用し、必要情報が一目で理解できるよう工夫する。あるいはページ構成を工夫して、必要情報ごとに適切に整理するなどの配慮を徹底すれば、同じアイテムを販売しているサイトが多数ある状況でも、高い利用率が期待できます。
②男性が多く購入している商品は?
ネット通販で主に購入している商品についても、男女差はハッキリ現れています。一般に男性は家電やパソコンまわりのアイテムなど、ネット通販で耐久消費財を購入することが多く、生活雑貨などの購入は女性に比べるとあまり活発ではありません。
日本通販協会調べでは、2010年度にネット通販でもっとも多く購入されたアイテムは、「本・雑誌・コミック」50.0%、「食料品・飲料(酒類除く)」34.9%、「レディース ファッション・靴」28.0%となっています。いずれもアイテム数が多く、希望する商品を購入するために、検索が重宝されるカテゴリーです。そのため、ネット通販利用が多いのです。
調査母体が異なるのですが、Asahiのハピ研が行った調査で、男性だけの購入ランキングを見ると、ベスト5はこうなります。
1 パソコン・関連機器・ソフト 48.4%
2 雑誌・書籍 46.1%
3 ホテル・旅行予約 44.1%
4 家電・AV機器 43.8%
5 ファッション(衣類・靴など) 42.8%
5 食品(生鮮食品・米・油など) 42.8%
先に書いた通り、耐久消費財が1位にランクされるのが、男性の特徴と言えます。
また、ホテル・旅行予約がランクインするのは、男女で行く場合も、男性が予約することが多いからでしょう。
男性をさらに年代別に分けて、ネット通販で購入するアイテムの偏りを比較すると、興味深い詳細が見えてきます(マーケティング専門会社、株式会社シーエヌエス調べ)。
10代男性はゲームソフト。20代男性は音楽CD。30代~40代前半男性は映画DVD、同じく、40代前半男性はスポーツ・アウトドア・レジャー用品、40代後半男性はデジカメやパソコンソフト、50代男性はプリンタ用インクなどパソコン関連消耗品の購入がもっとも多い、と報告されています。
また、60代以上の男性では、株式など金融商品の購入率が高くなります。
独身→結婚→子育て→老後という男性のライフステージがそのまま購入商品に現れている、と言えるでしょう。
【対策】
インターネットで検索されている事柄の上位は、1位「ニュース」、2位「地図、路線、道路情報」、3位「関心ある商品や購入しようと思う商品の情報」、4位「天気予報」、5位「百科事典がわりにわからないことを調べる」となっています(データバンクサイト、レポセン調べ)。なかでも、男性では「ニュース」、「天気予報」、「地図、路線・道路情報」、「金融商品」の検索率が高くなっています。
仕事、子育て、休日の過ごし方など、「ライフステージごとに変化する興味の対象」を読み取り、先に挙げた年代別購入商品の偏りとリンクさせれば、非常に効率的な販促を行うことが可能です。
たとえば、アウトドア用品を販売したいなら、「運動会シーズン中に天気予報サイトにリンクを貼ったり、バナーを置く」といった手法が考えられます。もっとも高い購入率が期待される30代~40代前半は、子どもが運動会に出場する年代ですから、週末の天気予報を検索する率が高い、と推測できるためです。
他にも、販売する商品ごとに、こういった関連性を推理することで、販促効率を大きくアップすることが可能です。
一般に考えられているよりはるかに、男女の違いは大きいものです。心臓移植を行う場合も、同性間の移植に比べ、異性間移植の場合、約25%も成功率が落ちるそうです。ある意味、「別の生き物」と言っていいかもしれません。アメリカではこのデータを重視して、性の一致を移植の条件に入れていますが、日本では、ドナーと患者の体重差だけを条件としています。どちらの成功率が高いか、推測するのは容易です。
お伝えしてきたように、ネット上でのふるまいにも、男女では大きな差異があります。これを知って生かすことで、移植の成功率と同じく、販促の効率はかなり違ってきます。あなたの商品が、男性向けアイテムなら、ぜひ男性の特性に合った販売を考えてみてください。